劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」2章 見てきた。

劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 Ⅱ.lost butterfly

見てきた。
レーティングはPG12。

PG-12 (Parental Guidance)
小学生以下のお子様が視聴する際、保護者の助言・指導が必要。鑑賞する際にはなるべく保護者同伴をオススメする作品
https://movie.jorudan.co.jp/cinema/rating/

ということで、グロかったりエロかったりする。
もともと18禁ゲームとして世に出たFate/stay nightであるため、どうやってもストーリー上そうなってしまわざるをえない作りということだろうか。

で、感想だけれど、語彙力を低下させるしかないなぁ。

うわーうわーーあーぐへぇーああああああー

まぁ圧巻ですわね。

ワカメのワカメっぷりがすごかったし、バーサーカーの狂戦士っぷりも見事だったし、エクスカリバーモルガンがモルガーンしてました(?)

桜については、とても丁寧にぶっ壊れていってた、という感じ。

まぁ、Fateファンなら見るしかないだろうし、最終章が来年の春だそうで、それまで長いなぁ。

あと、AimerのI beg youはとても良かった。

感想一部ネタバレ有り ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション

ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション

見てきたので感想を書く。
以下、ネタバレを含む。

正直、期待はしていなかった。
しかし、劇場に足を運んだのは正解だった。

テレビ版50話を通しで少なくとも6回以上、下手したら10回近くは見たかもしれない自分にとって、エウレカセブンは名作である。

どうせなら、二人の続きを楽しみたいとも思うが、あのストーリーは完結しており、これ以上は蛇足に思えた。
そのエウレカセブンが映画になるということで、ハイエボ1はなんともいえない気分で視聴した。
結果、何がしたいのか分からない、というのが感想だった。

端的に言えば、そう面白くは感じなかった。
それゆえ、今回のANEMONEは見るかどうするかかなり悩みもしたのだ。
しかし、見ないでエウレカを語るのも違うだろうし、今後のためにも?見ておかねばならないと劇場に足を運んだ次第である。

裏切られた。
いい意味で、裏切ってくれたのではなかろうか。
ハイエボ1を何これつまんないこれじゃないと思った人は、もう一度騙されに劇場に足を運ぶ価値があるかもしれない。

TV版の再構築とか、強引に映画にまとめるとか、そういうことではないのだ。
普通に、新作映画だったのである。
TV版のカットもいくつか使われていたが、基礎の設定ごと作り直されているので、ぜんぜん引っ張られていない。
新しい。

新しいということは、分からないことが沢山出てくるということでもある。
印象的なワード、ニルヴァーシュ、アクペリエンス、スカブ、色々出ては来るけど、ぜんぜん違う物語が生み出されていた。

アネモネが違う。
これは、惣流・アスカ・ラングレー式波・アスカ・ラングレーになったくらい違う。
いや、もっと違う。
戦闘シーンで使われたTV版の表情が似つかわしくないと感じるほど別人だったと思う。

エヴァが新劇場版になったのより、差異は大きいのではないか。

そして、なかなかに面白い。
何が起こるか、話がどうなるのか分からない。
回想シーンだけ違う方式でキャラを動かすという、違和感の演出も上手いと感じた。

次につながる終わり方。
具体的にもっと描写してくれよとも思うけれど、謎はどの程度明らかにされるのか。
続きを見ないという選択肢はもうなくなってしまった。

ただ、こうなると分からないのは、なぜハイエボ1があのような、ツギハギの作りになっていたのかだ。
TV版のファンを引きつけるために仕方なかったのだろうか。
それとも、伏線として今後生きてくるのだろうか。分からない。

いまの時点では、普通に新しい(そして面白い)ハイエボ1を作っていたとしても、ちゃんと成立していたと思う。

いろいろ分からないが、思いのほか楽しめたので、ここに書いておく。

補足説明

前回いただいた疑問のうち、答えられるものに答えておきます。


鍼灸は、きちんと確立されていないのではないか?

歴史的に見ると、確立されたことはあります。黄帝内経素門・霊枢と黄帝八十一難経という医学書において一応の完成をみました。しかし、書かれたのが数千年前なので、そこから大変に枝分かれしています。現在の鍼灸の流派は、基本的に「素門・霊枢」と「難経」と「それ以外」が混ざりあって出来ています。各流派の違いは、配分の違いと言っていいと思っています。ちなみに「素門・霊枢」と「難経」は今でも最重要古典医学書であり、「素門・霊枢」からは中医学、「難経」からは経絡治療が生まれています。


・どこに刺しても同じなら、経穴に意味はあるのか?

どこに刺しても同じではありませんし、そのようにも書いておりません。しかし、説明を省きすぎたのでそう受け取られても仕方なかった点は認めます。

特異的効果(そのツボの場所でないと発揮されない効果)の例として、足三里のツボを挙げます。主に胃腸症状に有効な経穴であり、胃酸の分泌を促すという特徴があります。しかし、全身のどの場所に鍼を刺しても胃酸が分泌されるかといえば、それはありえません。

次に、非特異的効果(どこに刺しても起こる反応)の例として、局所の血行促進を挙げます。鍼を刺すとごく小さな傷ができます。傷は治さなければならないので、栄養や白血球を送り込む必要があります。そのため、鍼を刺した場所は血流が良くなります。この反応は炎症や筋肉のこりを改善するのに役立ちます。


・刺さなくていいのなら、何故刺すのか?

ツボを刺激する方法は鍼を刺すことだけではありません。接触鍼もその一つです。しかし、一つの手法だけで全ての症状に対応することは技術的に困難です。(例:ペーパーナイフで紙は切れても、ダンボールは切れません。そこはカッターナイフの出番でしょう)それでも頑張れば一応の結果は出るでしょうが、最高の結果には遠いでしょう。ただ例外というのはあるもので、一部には接触鍼だけで治療する鍼灸師も存在します。

「代替医療のトリック」感想 ただし鍼灸のみ

代替医療のトリック」 著:サイモン・シン/エツァート・エルンスト 訳:青木薫


代替医療と呼ばれる鍼灸ホメオパシー、カイロプラティック、etcには本当に効果があるのか。EBM(根拠に基づく医療)の考えのもと、実際に効果があるかどうかを検証し、その結果を書いた本である。ここでいう科学的根拠とは、やってみて効いたかどうかだ。重要なのは信用度の高いテストを行うことであり、特にプラセボ(偽薬)効果を排することが鍵となる。


二重盲検法

  • ・対照群と治療群が比較されること
  • ・どちらの群にも、十分に多くの患者が含まれること
  • ・群への割り振りはランダムに行われること
  • ・対照群には偽薬を与えること
  • ・対照群と治療群とを同じ条件下に置くこと
  • ・患者には、自分がどちらの群に属しているか分からないようにすること
  • ・医師が患者に施す施術が、本物か偽物かを、医師も知らないようにすること。


これは、薬の投与なら簡単に実施できる。しかし鍼灸の場合は非常にやっかいだ。針を刺したか刺していないかは施術者本人には必ず分かるし、それは患者にしても同じことだからだ。そこで、いくつかの工夫がなされることになる。

  • ・針を有効とされる深さまで刺さない
  • ・伸縮性の針を使う(刺そうとすると、柄の方に引っ込む)
  • ・正しい経穴の位置からずらして刺す


こうして試験をした結果、針は一部の痛みと吐き気には少しの効果が認められたが、多くの症状においてはプラセボ効果を上回る効果はなかったと結論されている。


しかし、これにも問題がある。鍼灸師として反論させてもらうと 、


・針を有効とされる深さまで刺さない

そもそも針の作用機序には「ポリモーダル受容器への侵害刺激」というのがあるが、ポリモーダル受容器は皮膚にこそ多く存在する。皮膚に刺した時点で、ある程度以上の効果が出てしまう。主に中国の臨床試験で行われている方法であるが、むしろ浅く刺した方が効果が高かったという結果も出ているくらいだ。


・伸縮性の針を使う(刺そうとすると、柄の方に引っ込む)

皮膚刺激という意味において、上記と同じである。そもそも接触鍼というものがあるのだ。古代九鍼の中でも、刺さない針というのが2種類記されている。針は刺さなくても効いてしまうのだ。
また、小児鍼というのもある。生後3ヶ月以降なら実施可能であり、皮膚をこする程度の刺激で様々に効果がある。この場合、患者(赤ちゃん)は何も知らないので、プラセボ(思い込み)も何もあったものではない。


・正しい経穴の位置からずらして刺す

鍼灸おけるツボの位置は、目安にすぎない。「おおよそ、このあたりに有効な治療点がある」という程度のものだ。また本が書かれた時代によって、また国によって、ツボの位置も数も大いに変動するし、配穴(ツボの組み合わせ)も絶対的なものではない。鍼灸には流派が星の数ほど存在するし、それぞれ理論も治療穴の選び方も異なる。つまり、言ってしまえば「適当に選んで刺しても、けっこう効いてしまう」という側面があるのだ。これは、鍼灸施術における、特異的効果(そのツボの場所でないと発揮されない効果)と非特異的効果(どこに刺しても起こる反応)が複雑に入り組んでいることによる。だから、少々ツボの場所をずらした程度で効果がなくなるほど鍼灸も人体も単純ではない。(理論は、あくまで鍼灸の効果をより高めるために存在すると考えた方が妥当だと思われる)


そのため、残念ながらこれらの臨床試験では、本物の治療と偽物の治療を比較できたとはいえない。どちらも、十分に普通の鍼灸治療だった可能性がある。


また、この本には書かれていないが、医学には基礎研究というのがある。鍼灸の場合だと、痛みや熱刺激で子宮内の血流が改善とか、鍼を刺すと局所で血流の改善が起こって白血球が増える…とか、胃カメラで見て分かるくらいに胃酸の分泌が起こるとか、副腎ホルモンの分泌に影響するとか、副交感神経優位に傾くとか、igE抗体が減るとかである。これらは、ちゃんと現象が確認されている事実だったりするのだが、ここでは臨床試験にマトを絞って書かれているためか一切記されていない。それとも、基礎研究をも全てプラセボによる効果だと切って捨てるのだろうか。それならそれで、プラセボ凄いってことでいいかもしれないが、基礎研究には当然ながらラットでの動物実験も含まれる。ネズミ相手にプラセボ(思い込み)というのはどう解釈したらいいのだろう。この本は、基礎研究の話題を鍼灸の所では書かずに、ホメオパシーでは書いていたりするが、こういうのを公開バイアスというのではないか。


それともう一つ。例えば、腰痛ならプラセボによる治療は、おおむね7割の有効率があると言われている。ならば7割を超える有効率を上げることができたなら、それは鍼灸固有の治療効果と言って差し支えないのではないか。(腰痛なら、私にしても9割以上の有効率を確認している。エビデンスレベルは低いだろうけど)


さらに。この手の臨床試験では、「腰痛に対する腎兪穴の有効性を調べる」とかいう方法が取られることが多いように見受けられる。これは、鍼灸治療としては極めてレベルが低いものである。腰痛といったって、東洋医学的に診断すればバリエーションは無限にあるし、患者ごとに治療穴は全部変わるし、鍼の深さも刺鍼時間も一定にはなりえない。とすれば、そもそも鍼灸固有の効果がほとんど発揮出来ない状況でプラセボと比較されている可能性があると思う。


以上のようなことから、鍼灸の効果は科学的にはまだよく分かっていないと考えるのが妥当ではないだろうか。


補足説明
http://d.hatena.ne.jp/osaragi1999/20100323/1269307998


<3月20日追記>
参考:全日本鍼灸学会
http://jsam.jp/contents/0301031vgLov/